秋の夜の泣いて笑った白雲座

金沢からあっという間に高速道路で、下呂温泉へ。3時間くらい。
そこから山あいへ。あと十分遅かったら駐車場は満杯になってとめられなかった。



開演三十分前というのに小屋はほぼ満席。早く来てよかった。



初めての白雲座、て言うか素人さんの歌舞伎はどんなものだ?期待が高まる。



観劇は無料なのだけれども、白雲座を応援する、という意味でご祝儀を出す。
「金沢のダリア」で一枚半紙に書かれているはずだが、探しても見つからない。


最初の演目、近江源氏先陣館 盛綱陣屋の場。
素人とは思えない迫真の演技、芝居に引き込まれる。



クライマックスは首検証の場、隣のお兄さんにつられて二人して泣く。
こうなってくると、プロもアマも関係なくなる。




泣いたかと思えば、笑う笑う。
観客も役者と一体となって芝居を盛り上る、掛け声が面白い、「ススム!」とか。
お互いに高揚する。




フライドポテトを花道に置き食べながら、歌舞伎を見ている僕。
こうやって次の世代に地歌舞伎は伝わっていくんだ!という現場を見た。



地酒「天領」のぬる燗を片手に、甘い鯛焼きをつまみながら、芝居を見る。
地歌舞伎、最高!民主党の先生も来ていたが、いなか歌舞伎といっていたな。
ていうか、親分は黒船歓迎するという話だが、どんな面下げてよくもあいさつに来たもんだ、袋たたきだー。



第一幕を終え、座長のごあいさつ。
座長はもとより、彼ら役者達を支える裏方さんの力も絶大だなあと感じた。



第二幕は子供歌舞伎、御所桜掘川夜討 弁慶上使の場。




小六の母おわさの名演技。圧巻、また泣く。


ただ一人の男の子、弁慶を演じる。本名寅ノ助、拍手喝さい。「トラノスケ!」




二階からもおひねりが乱れ飛ぶ。



幕間に二階へ、もうそこはこの日を楽しみにしていた地元の人たちの宴会場だった。
親子三代膝つき合わせ、ご馳走を囲んで、酒を飲み語らい、まあ素敵な場、羨ましい光景。
歌舞伎見物を楽しむ、日本の原点を見たような。




子供歌舞伎終演後、カーテンコール。少子化で子供役者の減少、地歌舞伎存続の危機などを座長が訴える。
色恋ものから、親子の情の名演技、観客と役者の一体感、素晴らしいの一言に尽きる、白雲座歌舞伎であった。


ダリアはどこだ!

第三幕、東海道五十三次並木の場を、ちょこっと見て白雲座を後にする。
もっと見たい!第四幕、艶容女舞衣 酒屋の場店先より。


いいものを見せてもらいました、白雲座のみなさん、ありがとうございました。