私の老後の楽しみ

出石にある宝物に、偶然にも出くわした。その名は、「永楽館」。
近畿最古の芝居小屋として、明治34年に開館した。丹波の大衆文化の中心として栄えたが、
昭和39年に閉館した。その後大改修の末、なんと44年ぶり、よみがえった。

11月5日から、大歌舞伎がやってくる。「築城せよ!」の愛之助、まつしまや!
ハハ、松葉ガニ食べに来るんだな。
http://www.izushi-tmo.com/eirakukan/kouen/kabuki/index.html

昔のレトロな看板いいよね、300円払えば自由に見学できる。
舞台で寝まり、「しらざー言ってきかせやしょう」と大声を出してみた。気持ちがいい。

大阪の松竹座で、愛之助を見たことがある。ラストの階段から転げる場面はすごかった。


奈落へ向かう。せりや廻り舞台の仕組みが一目瞭然でわかる。


鳥屋、すっぽん、太夫座、囃子場、もう飽きることなく出入りした。

楽屋の壁に記された、落書き。とても興味深い。たまらない、今朝子さんの小説に出てきそう。

表側は、車の往来でとても危険、地酒、楽楽鶴のお酒は美味しかった。


「永楽館」を知ったきっかけは、小松市の「粟津演舞場」こけら落としでお邪魔した会でのこと。
昨年の夏、これもまた長い時を経てよみがえった「粟津演舞場」に、
全国の古い芝居小屋を保存して、
町を活性化、観光の目玉にしようとする人たちが集まった。
その中に、出石の「永楽館」のメンバーがいたわけだ。まずは建築的価値で人を呼ぶ。
大歌舞伎などの行事で人を呼ぶ。使わなきゃ何もならない。

粟津演舞場の強みは、温泉街にあること。北陸最古の温泉、歴史がある。
温泉入って、一杯やって、芝居見て、もうこれ以上の悦楽はない。日本人の極みではないか。
足腰がダメになって、農業やめたら毎日歌舞伎見物としゃれこもう。

粟津温泉の料理屋さんが作ったおつまみセットで、一杯やり、常磐津を聞いた。

地元の工務店が花道をこしらえた。
いい見本が出石にあるんだから、どんどん真似をして、演舞場を核に粟津温泉が有名になってほしい。
何も大枚はたいて大歌舞伎をよぶ必要はない。
端唄サークルの発表会とか、大学生の歌舞伎サークルをよぶとか、
子供歌舞伎をやるとか、合唱団の合宿で使うとか、使わなきゃなんにもならない。

でも夢は大きく、大歌舞伎、団十郎の弁慶、菊五郎の富樫。飛び六法が目に浮かぶ。