霜里農場訪問記 その4

長生きの秘訣を長寿の年寄りに聞くと、
欲張らない、我慢しない、怒らない、ストレスをためない。などなど。
私は自分のの農業を、人とすぐ比べたくなる。
エっ、そんなにもうけてるの、と皮算用してみたり。
いいなあ、最新のトラクターほしいなあと、うらやましがってみたり。
もっと形も色もよいサツマイモを作るぞと、競争してみたり。
大概は、隣の芝生は青い的発想でいつも落ち込んでいる。

霜里農場農園主、金子美登さんは、こうおっしゃた。


「ほどほどに生きていける有機農業」

有機なんてのは、とても効率が悪い。
土作りに手間がかかる。
ぼかし肥料作りにも手間がかかる。
除草剤、農薬もやれない。
でも化学肥料や農薬を使わないででできたという充実感、幸福感がある。
全然くよくよせずに、農業しよう。


もうひとつ私に勇気を与えてくれた言葉を、金子さんは投げかけてくれた。

「まず自らが、豊かに自給する。」

こんなことわかっていると思ったが全然、私の発想にはなかった。
自分と食べるトマトは、ほがらか村の売れ残りや、はんぱもの。
私の農業は、慣行のさつまいも、有機のトマト、ベビーリーフなど。
それらを売って、生活費を稼ぎ、恥ずかしながら、大根や豆を買っていた。
金子さんの少量多品種の豊かな野菜の発想の恩恵をこうむっていない。
金子さんは、日本は自給可能な国だと言っている。

で、自分で食べる野菜ぐらいは、自給しようと思い立つ。
いつも多少は、なす、きゅうり、ピーマン等は作っていたが、
その圃場を有機に転換することにした。自らが健康で、自慢できる自給野菜にしたい。
「自給」と「豊かさ」という言葉は、相反する言葉のように思える。
今年の、確かな挑戦にしたい。

一生懸命やればやるほど、喜怒哀楽は強い。

有機農業は農業のやり方だが、金子さんが自ら選択した、人生の歩み方、生き方である。

私も時々悩むことがあるが、「ま、ほどほどに食えればいいか」

おごらず、高ぶらず生きていこう。